Column and Essay

カレーのスパイスと、思考するということ。

京大カレー部を知っているだろうか。文字通り、カレーを食べ歩いたり、作ったり、時には出店したりする京都大学のサークルである。ちなみに、京都大学吉田キャンパスのある百万遍界隈には、スパイスにこだわったカレー店が数多くある。京大カレー部の元部員が出店した店舗もあるそうだ。それにしても、なぜ京大生はこうもカレーに魅せられるのだろうか。もちろん美味しいからというのはあるのだろう。だがそれ以上に、スパイスからカレーを作る工程は身近なテーマでできる化学薬品の調合に似ており、それゆえに彼らが求める知的好奇心や実験の楽しさといった喜びを満たしてくれるからなのではないかと考えている。

ところで、「考える」や「分かる」という営みもまた、カレーに似ているのかもしれない。一晩寝かせたカレーが美味しいのは、寝かせている間に肉や野菜の旨味成分がルーに溶け込み、コクが出てくるからだという。モヤモヤしていた考えがあるとき突然まとまったり、それまでわからなかった問題があるとき急に分かるようになったりするのも、実はそのモヤモヤしている時間や別のことをしている時間がカレーを寝かせている時間と同じ役割を果たしているからなのではないだろうか。

さて、ここ数日間本ブログを更新してこなかったが、実は8月16日に虫垂炎の日帰り手術を受けていた。「開腹術に比べて身体への負担や術後の苦痛が少ない」と事前のリサーチで分かっていたことや日帰りで済むため治療費が安く上がることから腹腔鏡手術を行なったが、ナメていた。まさか虫垂炎本番より手術後の方が痛いし苦しいとは思ってもみなかった。今はお腹がパンパンに膨れ上がっていて食欲もあまりない。へそのあたりに力が入ると痛む(笑うと最悪だ)。とはいえ、本ブログを寝かせていた期間に、まるでカレーのようにより味わい深くなっていればと思う。

お腹の膨れが良くなり、食欲が戻ったら、いずれ美味しいカレーでも食べよう。